自転車の交通反則通告制度

1 交通反則通告制度

 令和8年4月から、16歳以上の利用者を対象として、自転車にも交通反則通告制度が適用されることになりました。

 交通反則通告制度は、運転者が行った一定の道路交通法違反(反則行為:比較的軽微で、現認、明白、定型的な違反)について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴を提起されずに処理される制度です。

 期日までに反則金を納めれば罰金や公判手続などの刑事罰を科せられずに処理される簡易で迅速な手続ですが、反則金の納付は任意ですので、納得できなければ反則金を納付しないことも可能です。

 反則金を納付をしなければ通常の刑事手続に移行し、刑事手続のなかで事実を争うこともできます。 

 交通反則通告制度が適用される場合には、警察官が反則行為の現場で「交通反則告知書(いわゆる青キップ)」と「反則金仮納付書」を交付し、違反者が期日内に反則金を納付すれば手続はすべて完結します。

2 主な反則行為と反則金

 自転車での主な反則金の額としては、携帯電話を使用しながら運転するいわゆる「ながら運転」で1万2000円、信号無視や通行区分違反(逆走や歩道通行など)で6000円、一時停止違反や無灯火で5000円、並進禁止違反や二人乗りで3000円などが予定されています。

 基本的には、取締りの対象は「悪質で危険な行為」とされており、反則行為をしても指導にとどまる場合もあります。

 しかし、自転車による交通事故は高い水準が続いており、重大な事故につながって多額の損害賠償事件になることも多くなっています。今後も危険な行為の取り締まりは厳しくなっていく可能性が高いでしょう。

3 自転車の交通事故

 自転車も軽車両であり、道路交通法違反の対象です。

 自転車利用者は、自転車が軽車両であることを自覚し、事故に備えて十分な保険に加入し、交通ルールを守って安全運転を心がけてください。

 また、自転車との交通事故の場合には、自転車には自賠責保険ないため保険に全く加入していなかったり、任意保険に加入していても打ち切りが早かったり被害者請求ができないなど、慎重な対応が必要となることも多くなっています。

 自転車との交通事故でケガをされた被害者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。