交通事故の損害賠償請求の期限

1 いつまでに示談をしなければならないのか

 相手方保険会社から被害者に対して示談の提案をしてきた際に、短期の回答期限が記載されていて、急に示談を迫られることがあります。

 示談提案をされて和解をするかどうかは、被害者の自由です。

 あくまでも保険会社からの提案にすぎませんので、保険会社が勝手に決めた回答に期限を過ぎたとしても、賠償金の請求自体ができなくなるわけではありません。

 もちろん、期限後に提案金額を変更される可能性はありますが、提案金額も回答期限自体も保険会社からの提案に過ぎないため、被害者がそのまま受け入れる義務はないのです。

 保険会社の提案は、過失割合や示談金額について交渉の余地が残されていることが多く、内容を精査せずに焦って和解して示談書を返送してしまうと撤回することは困難ですので、被害者の不利な示談になることがあります。

 保険会社から提案があっても、まずは落ち着いて、書類の返送をせずに弁護士などの専門家に適切かどうかを相談してみてください。

2 損害賠償請求の期限

 極端な話、時効の成立まではいつでも損害賠償請求はできますので、相手保険会社にせかされても焦る必要はないです。

 しかし、いつまでも保険会社や加害者に請求をしないままにしておいても大丈夫なのかというと、時効による請求権の消滅という危険はあります。

 基本的には一般的な交通事故の損害賠償請求権の時効期間は、早ければ、物的損害については交通事故発生の翌日から3年、人的損害については交通事故発生の翌日から5年で、時効を援用される可能性がでてきます。

 また、自賠責保険への被害者請求の時効は3年です。

 時効がどの時点から開始するか等は、弁護士等にきちんと事情を説明して確認した方がよいですが、損害賠償請求が可能になったらできるだけ早く交渉を開始したほうが証拠なども残っているので安全です。

 焦って示談をする必要はありませんが、交通事故の損害賠償請求が可能になったら、放置せずに請求を開始しましょう。

3 時効の完成猶予や更新

 なんらかの理由で時効の完成が近づいている場合には、時効の更新や完成猶予といった措置をとることで、時効の完成を妨げることができます。

 時効の更新は、法律で定められた時効の更新事由が認められた時点で、それまでの時効期間を一旦白紙に戻し、改めて時効期間のカウントを開始する制度です。

 時効の完成猶予は、法律で定められた時効の完成猶予事由が認められた時点で、時効期間を一時的に停止する制度です。

 いずれの制度も、すぐに対応できるとは限らないため、時効の完成が近づく前に弁護士に相談してください。

4 交通事故に詳しい弁護士への相談

 交通事故の損害賠償請求は、適切な過失割合や提案金額かどうか、いつまでに請求しなければならないかなど、弁護士に相談したほうがよいことがたくさんあります。

 また、治療が長期化している際には、時効について注意をしなければならないこともあります。

 交通事故の被害者は、交通事故に詳しい弁護士にお早めに相談をしてください。

 

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夕方の交通事故にご注意ください

1 歩行者の注意点

 日の入り前後1時間は、歩行者の交通事故が多い時間帯です。特に、11月や12月は、帰宅等をする時間帯と日の入り時刻が重なることもあり、交通事故が増加しがちです。

 夕方の交通事故は、歩行者の道路横断中の事故が多く、横断歩道以外で道路を横断する場合に歩行者が見えづらいことも一因となっています。

 歩行者は、自動車や自転車が早めに歩行者の存在を見つけることができるように、なるべく明るい色の服装をし、暗い色の服を着用して目立たない場合には、反射材やライトの携帯により、歩行者の存在が自動車などに自然と見つけやすくなるように心がけてください。

 また、道路などの横断の際は、信号や横断歩道での横断の徹底や、自動車の直前直後の横断を避けるなどの交通ルールの順守をしてください。

2 自動車の注意点

 自動車は、道路の横断をする歩行者の安全を確保しなければなりませんが、歩行者が横断歩道以外の道路を横断している事故も多数見られます。

 自動車が、夕方の歩行者との交通事故を防止するためには、自動車は早めにライトを点灯することが必要です。早めにライトを点灯することで、自動車からの視界を確保するとともに歩行者に自動車の存在を知らせることができます。

 夕方、急に暗くなってライトを点灯するタイミングがつかめないことや暗闇に目が慣れれおらず歩行者を見落とすこともあります。周りの車がライトを点灯していなくても、周囲が明るいうちに早めにライトを点灯することで、夕方の交通事故を防ぐことができます。

 また、夕方や夜間は視界が限られることで速度感覚が鈍くなり、つい速度が速くなりがちです。

 急いでいる方も、意識して速度を落とすことで、安全な運転を心がけてください。

3 弁護士への相談 

 歩行者や自動車がどんなに注意をしていても、どうしても交通事故が発生してしまうことはあります。

 交通事故が発生した場合には弁護士に相談して、きちんと事故の対応を行ってください。

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自転車の酒気帯び運転

1 自転車の飲酒運転と罰則 

 京都も年末が近づき寒さが厳しくなってきました。年末が近づいてきたことで、飲酒する機会も増えてきます。

 自動車の酒気帯び運転はもちろんのこと、自転車の酒気帯び運転も刑事罰の対象です。

 もともと自転車の飲酒運転自体が禁止はされていましたが、2024年11月1日施行された道路交通法の改正前はいわゆる酩酊状態で運転する「酒酔い運転」のみ処罰の対象でした。

 自転車の酒気帯び運転は、道路交通法の改正により、現在は、3年以下の懲役又は50万円以下罰金に罰則が強化され、車両の提供者、酒類の提供者、同乗者にも罰則規定されました。酒気帯び運転は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転する行為をいいます。

 自転車の酒気帯び運転について改正道路交通法が施行されてそろそろ1年が過ぎ、実際の運用が明らかになってきています。

2 自転車の酒気帯び運転の実例

 自転車の酒気帯び運転について、実際はどの程度が摘発されるのか実効性を不安視していた方もいましたが、各地でかなり多くの自転車運転者が摘発されています。また、行政処分を受ける実例や、自転車の酒気帯び運転で実刑が言い渡される実例も出てきています。

 軽い気持ちでお酒を飲んだ後に自転車に乗ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これから年末にかけて、酒気帯び運転での自転車運転者の摘発は増加してしていくことが予想されます。

 お酒を飲んだ後には判断能力や運動能力が低下し、大きな事故につながってしまいます。自転車事故でも被害者に重大な傷害を負わせることもありますし、自分自身が重大な傷害を負ってしまうこともあります。

 お酒を飲んだ後は、自動車の運転は勿論のこと自転車の運転も絶対にやめてください。

 

 

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交通事故の治療中に別の交通事故にあった場合

1 異時共同不法行為

 交通事故での治療中に別の交通事故にあい、同じ部位にケガをして症状を悪化させた場合には、いわゆる異時共同不法行為になります。異時共同不法行為は、法律に明確に規定があるわけではありませんが、実務上使われている考え方です。

 交通事故で同じ部位のケガをして症状が悪化した場合の治療費等の対応は、多くの場合、同じ部位については2回目の事故が発生した時点で1回目の加害者の加入する任意保険会社の対応が終了し、その後の新たな対応については第2事故の事故の加害者の加入する任意保険会社に引き継がれます。

 異時共同不法行為では、1回目と2回目の自賠責保険会社の両方に被害者請求をすることができます。傷害部分の賠償についてや後遺障害についても、2つの事故が原因でケガの治療費や後遺障害が発生しますので、自賠責保険の上限が2つの自賠責保険分になります。

 任意保険会社については、対応が引き継がれた後に対応が終了した保険会社が示談を求めてきますが、すぐに示談に応じる場合にはリスクがありますので、注意が必要です。

2 異時共同不法行為と裁判

 事故時が異なる複数の交通事故が原因でケガをした場合、本来は、各事故が被害者に与えた寄与度に応じてそれぞれの加害者が賠償を行わなければなりません。しかし、どの事故がどの程度ケガの治療費や治療期間等に影響を与えたか、示談の際に話し合うのは困難です。

 そこで、可能な場合には、ケガの治療費対応等を後の加害者加入保険会社が引継ぎ、被害者への損害賠償の後に保険会社間で負担の割合を決めることも多くなっています。

 ところが、異時共同不法行為で裁判になった場合には、裁判所は、原則としてそれぞれの「寄与度」つまりそれぞれの事故で被害者の損害に与えた影響度に応じた損害額の請求しかできません。

 裁判では、純粋にその事故の加害者の責任分の賠償しか請求できないので、例えば先に起こった1事故目の交通事故の示談をしてしまっていると、2事故目発生以降のうち1事故目が寄与している分の賠償金については1事故目では既に示談しているため請求できず、受取額が少なくなってしまうのです。

 異時共同不法行為で示談をするかどうかや示談のタイミング等については、慎重に判断しなければなりません。

3 弁護士への相談

 交通事故の治療中に複数の事故にあった場合には、示談や後遺障害申請のタイミングが複雑になってしまいます。

 交通事故の治療中に交通事故にあった場合などには、お早めに弁護士にご相談ください。

 

 

 

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自転車ルールブックが公表されました

1 警察庁による広報

 近年、自転車による交通事故が増加し、問題も深刻化してきていました。

 令和8年4月から信号無視など、自転車の113の違反行為にいわゆる青切符が導入されることになっています。

 そこで、警察庁は、令和7年9月4日に「自転車ルールブック」を公表し、交通ルールや具体的な違反行為、取り締まりのルールなどを公表しています。

 自転車のルールについて、体系的に学んだ方は少ないかと思います。子どものころ親から教わったルールや自動車運転免許取得の際に学んだ知識だけでなんとなく自転車を運転をしていたりする方もいるでしょう。

 曖昧な知識のままで自転車を運転することで、ルールを間違ったまま覚えていたり、知らないルールがあったりすることもあります。交通事故や違反行為を防ぐためには、正確な知識が必要です。

 また、違反行為に対する取り締まりや対応が厳しくなっており、今後、違反によりいわゆる青色切符や赤色切符を切られることが増えたり、違反行為が過失として厳しく判断されることが予想されます。

 自転車運転ルールの知識は、今後一層重要になっていくでしょう。

2 交通事故と弁護士

 自転車も道路交通法上は軽車両として取り扱われており、違反行為によって過失割合に影響を及ぼすことがあります。過失割合は、事故による損害賠償を受けるうえでも非常に重要です。

 自転車で事故にあったり、自転車との事故にあった際に、過失割合に納得できない場合には、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

 また、一度、「自転車ルールブック」を確認して、違反行為や交通事故が減っていくように、自転車の基本的なルールを確認してみてはいかがでしょうか。

 

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お盆中の交通事故にご注意ください

1 お盆時期の特殊性

 お盆の帰省の際には、普段通らない道や慣れない道を通ることになったり、道路状況が以前とすっかり変わっていたり、レジャーで初めての道を通ったりすることがあります。レンタカーや実家の車などの普段とは異なる車に乗ったりして、普段と運転するときの感覚が異なることもあります。帰省や旅先、レジャーからの帰り道では、疲れや睡眠不足による眠気や集中力の低下が現れることもあります。

 また、自分は慣れた道を慣れた車で走っていても、帰省中や観光中の車が周囲を走っていることもあり、道を間違えたり駐車場を見つけたりした車が急に減速したり方向を変えたりすることもあります。もらい事故にも十分に注意しなければなりません。

 お盆休みなどの時期は、交通事故の相談が増える時期でもあります。

2 天候不順

 最近は、猛暑や局地的大雨など、様々な自然災害もおこっています。

 夏の天気はもともと変わりやすいものでしたが、ゲリラ豪雨などによる短時間で急激な天候の変化が発生することが増えています。激しい雨による視界不良、あふれる水による路面の悪化が急激におこることで、事故が発生することも増えています。

 天気予報などの情報を常に収集し、天候が悪化した際には駐車できる場所で休息を挟むなど余裕を持った運転計画を心がけてください。

 また、暑さによる疲れや集中力の低下、日光による目の疲れは特に注意が必要で、他の車両や歩行者の挙動の見落としによって、事故が発生しやすくなります。

 車内の温度管理や紫外線防止用品の活用など、快適な環境づくりを心がけてください。

3 交通事故にご注意ください

 お盆休みによる帰省ラッシュの時期ですが、この時期は特に交通事故にご注意ください。

 車を運転する際には、時間に余裕を持ち、こまめに休憩をはさみ疲労回復や水分補給をしながら安全運転をおこないましょう。

 それでも交通事故に巻き込まれてしまうこともありますので、交通事故に巻き込まれてしまった場合には、迷わず弁護士にご相談ください。

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自転車の交通反則通告制度

1 交通反則通告制度

 令和8年4月から、16歳以上の利用者を対象として、自転車にも交通反則通告制度が適用されることになりました。

 交通反則通告制度は、運転者が行った一定の道路交通法違反(反則行為:比較的軽微で、現認、明白、定型的な違反)について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴を提起されずに処理される制度です。

 期日までに反則金を納めれば罰金や公判手続などの刑事罰を科せられずに処理される簡易で迅速な手続ですが、反則金の納付は任意ですので、納得できなければ反則金を納付しないことも可能です。

 反則金を納付をしなければ通常の刑事手続に移行し、刑事手続のなかで事実を争うこともできます。 

 交通反則通告制度が適用される場合には、警察官が反則行為の現場で「交通反則告知書(いわゆる青キップ)」と「反則金仮納付書」を交付し、違反者が期日内に反則金を納付すれば手続はすべて完結します。

2 主な反則行為と反則金

 自転車での主な反則金の額としては、携帯電話を使用しながら運転するいわゆる「ながら運転」で1万2000円、信号無視や通行区分違反(逆走や歩道通行など)で6000円、一時停止違反や無灯火で5000円、並進禁止違反や二人乗りで3000円などが予定されています。

 基本的には、取締りの対象は「悪質で危険な行為」とされており、反則行為をしても指導にとどまる場合もあります。

 しかし、自転車による交通事故は高い水準が続いており、重大な事故につながって多額の損害賠償事件になることも多くなっています。今後も危険な行為の取り締まりは厳しくなっていく可能性が高いでしょう。

3 自転車の交通事故

 自転車も軽車両であり、道路交通法違反の対象です。

 自転車利用者は、自転車が軽車両であることを自覚し、事故に備えて十分な保険に加入し、交通ルールを守って安全運転を心がけてください。

 また、自転車との交通事故の場合には、自転車には自賠責保険ないため保険に全く加入していなかったり、任意保険に加入していても打ち切りが早かったり被害者請求ができないなど、慎重な対応が必要となることも多くなっています。

 自転車との交通事故でケガをされた被害者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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人身事故の警察提出用の診断書

1 治療期間との関係

 交通事故で警察に人身事故として届け出る場合には、病院で医師に警察への提出用の診断書を作成してもらいます。

 警察提出用の診断書には、「全治1週間」とか「全治10日」などと短い期間が書かれていることが通常です。

 これは、少なくともその期間の治療が必要という意味ですので、1週間や10日でケガが治るという意味ではありません。

 その後に再度診察して、治療期間が延長されていくことになりますので、書かれた期間が過ぎても治らないからと言って、直ちに治療費の支払いが終了するわけではありません。

 診断書の治療期間が短くても、安心して治療を受け続けてください。

2 行政処分との関係

 警察は、警察提出用の診断書に記載された治療期間を基準にして人身事故の場合などについての行政処分を行っており、運転免許の違反点数は、診断書上の治療期間を基準として加算されています。

 違反点数は、被害の程度と不注意の程度で決まっており、被害の程度は治療期間をいくつかの期間に分けて、不注意の程度は専ら違反者の不注意かその他かで分けて、違反点数を決めています。

 例えば、交通事故の被害者の治療期間が15日以上30日未満で、専ら違反行為者の不注意によって交通事故が発生しているものであれば、運転免許証の違反点数6点が加算されることになります。

 診断書上の治療期間によって、違反点数が変わってきますので、治療期間は確実に治療が必要な期間のみが記載される必要があります。

 交通事故の被害者は、自分の症状をきちんとすべて医師に伝えて適正な評価をしてもらい、適切な期間を診断書に記入してもらいましょう。

3 交通事故の人身事故の届出を迷った場合

 交通事故の際には、相手から人身事故の届出をしないようにお願いされる場合もあります。

 警察への人身事故の届出には、具体的な事情によってはメリットとデメリットが発生する場合がありますので、きちんとした知識を得たうえで冷静に検討する必要があります。

 交通事故でおケガをされた場合には、お早めに弁護士にご相談し、専門家のアドバイスを受けてください。

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減収がない場合の休業損害

1 休業損害

 交通事故で発生する休業損害は、交通事故による受傷から症状固定までの間に生じた傷害及び療養等による就労制限に基づく所得喪失のことです。交通事故によるケガで仕事ができなくなった場合や、通院のために仕事を休んだ場合に休業損害が発生します。

 被害者は、もし交通事故による加害がなかったとしたならば得られたであろう収入と、交通事故による加害がなされた現実の収入との差額を、休業損害として賠償してもらうことになります。つまり、事故がなかった場合の収入と実際の収入を比較して、減少していることを証明すれば、休業損害の賠償を受けることが出来ます。

 給与所得者は、通常は会社が第三者として休業損害証明書を作成してくれますので、有給休暇や休業による減収は比較的簡単に計算できます。

 自営業の場合の収入の日額は、原則として確定申告を中心に1日当たりの収入を計算することになりますが、計算は複雑になりがちです。

 休業損害の金額等で争いになった場合には、なるべく早く弁護士に相談したほうがよいでしょう。

2 休業損害の判断

 自営業のように収入に影響を与える要因が複数あり、所得の変動も大きい場合には、事故が要因による減収なのかその他の要因による減収なのかの判断はかなり難しくなります。

 また、休業損害は、事故から症状固定までの比較的短期間の障害及び療養等に起因した収入の減少が問題となりますが、症状固定までの治療経過は、事故の態様や負傷の内容等によって様々なため、傷害の内容や程度、治療内容等をふまえた個別的な判断になりがちです。

 休業損害の発生に必要な休業の必要の判断に必要となりますので、身体の症状や支障の内容などについては、医師に相談してきちんとカルテに残しておいた方がよいでしょう。

3 減収がない場合の休業損害

 では、交通事故による減収がない場合に休業損害が認められることはあるのでしょうか。

 原則として、減収がなければ休業損害は否定されることになります。減収を証明できない場合も同様です。

 ただし、自営業で親族等の周りの支援により減収を回避している場合や、事故がなければ高い確率で増収が見込めた場合などの特殊な場合には、少ないですが休業損害が認められている裁判例もあります。

 事故がなければ増収を見込めた場合の証明は非常に難しい証明になります。

 休業損害の請求をする方は、お早めに弁護士にご相談ください。

 

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弁護士費用特約でできること、できないこと

1 弁護士費用特約でできること 

 一般的な自動車保険における弁護士費用特約は、約款上、相手方に法律上の損害賠償請求をする場合の弁護士費用を補償しています。

 そこで、事故の加害者や加害者が入っている自賠責保険、任意保険に対する請求については、弁護士費用特約を使うことができます。

 ご自身の加入している保険の弁護士費用特約を使って、弁護士が、相手の任意保険会社と治療対応の打ち切り交渉や示談交渉をしたり、相手の自賠責保険に傷害や後遺障害の被害者請求をしたりすることができます。

2 弁護士費用特約でできないこと

 一般的に、自分の保険の人身傷害補償特約などを使用している場合に、自分の保険会社に対して行う保険金請求については、弁護士費用特約を使用できません。

 例えば、自損事故の場合や相手が逃げて不明な場合、ご自身の過失が大きい場合など、自分の保険の人身傷害補償特約を使って治療費や慰謝料の支払いを受けることがあります。自分の保険会社の対応に不満を持つ方が自分の保険会社と交渉して欲しいという場合も多くみられます。しかし、自分の保険会社に対する請求は損害賠償請求ではなく、保険契約に基づく保険金の請求になるので、通常は弁護士費用特約の範囲外になっています。

 もちろん、自分の保険会社に対する保険金請求について、保険会社からの提案内容に問題があることもあります。特に、家事従事者の休業の期間や、むちうち事故における後遺障害逸失利益の労働能力喪失期間については、人身傷害補償特約を使用する際に保険会社が非常に短い期間しか認めないことがあります。この場合には、交渉等によって、適切な期間分の賠償が認めれれることで受け取れる保険金が増額することがあります。

 しかし、費用を負担しなければならないことから、弁護士を依頼する際の弁護士費用と比較し、メリットがあるかどうかを慎重に判断しなければなりません。

3 ADRなどの利用

 自分の保険会社に対する不服や紛争については、そんぽADRセンター等の外部組織に相談して話し合いの間に入ってもらうなどの対応してもらうこともあります。完全に中立の組織とはいえないかもしれませんが、一般的に、費用がかからず、同じ保険会社の苦情窓口や担当者と個人でのやりとりするよりは、結果の実現可能性があります。また、裁判所の調停などよりは手間が少なく、時間的な点などのメリットがあります。

4 弁護士への相談

 交通事故の場合に、自分の保険会社に対してできることは限定的ですが、例外的に無保険車傷害特約が利用できる場合や、事故の相手の自賠責保険を使える場合、訴訟を利用して自分の保険会社から受け取る金額を増額できる場合もあります。

 交通事故でお困りごとがある場合には、取りうる手続きなどについて、一度、弁護士のアドバイスを受けてみてください。

 

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