人身事故の警察提出用の診断書

1 治療期間との関係

 交通事故で警察に人身事故として届け出る場合には、病院で医師に警察への提出用の診断書を作成してもらいます。

 警察提出用の診断書には、「全治1週間」とか「全治10日」などと短い期間が書かれていることが通常です。

 これは、少なくともその期間の治療が必要という意味ですので、1週間や10日でケガが治るという意味ではありません。

 その後に再度診察して、治療期間が延長されていくことになりますので、書かれた期間が過ぎても治らないからと言って、直ちに治療費の支払いが終了するわけではありません。

 診断書の治療期間が短くても、安心して治療を受け続けてください。

2 行政処分との関係

 警察は、警察提出用の診断書に記載された治療期間を基準にして人身事故の場合などについての行政処分を行っており、運転免許の違反点数は、診断書上の治療期間を基準として加算されています。

 違反点数は、被害の程度と不注意の程度で決まっており、被害の程度は治療期間をいくつかの期間に分けて、不注意の程度は専ら違反者の不注意かその他かで分けて、違反点数を決めています。

 例えば、交通事故の被害者の治療期間が15日以上30日未満で、専ら違反行為者の不注意によって交通事故が発生しているものであれば、運転免許証の違反点数6点が加算されることになります。

 診断書上の治療期間によって、違反点数が変わってきますので、治療期間は確実に治療が必要な期間のみが記載される必要があります。

 交通事故の被害者は、自分の症状をきちんとすべて医師に伝えて適正な評価をしてもらい、適切な期間を診断書に記入してもらいましょう。

3 交通事故の人身事故の届出を迷った場合

 交通事故の際には、相手から人身事故の届出をしないようにお願いされる場合もあります。

 警察への人身事故の届出には、具体的な事情によってはメリットとデメリットが発生する場合がありますので、きちんとした知識を得たうえで冷静に検討する必要があります。

 交通事故でおケガをされた場合には、お早めに弁護士にご相談し、専門家のアドバイスを受けてください。